ASPACレポート:男子・決勝戦(対タイ)

2015/07/14

 2015年7月11日(土)の16時から、第7回APLUアジアパシフィック選手権大会(ASPAC)・決勝戦が行われ、22歳以下男子日本代表(以下、U22男子日本代表)は、開催国のタイ代表と対戦した。

決勝戦1決勝戦2

スコア
チーム
1Q
2Q
3Q
4Q
TOTAL
U22日本代表
1
5
4
1
11
タイ代表
1
2
3
3
9
得点者
U22日本代表
#11 畑田 峻希 (5)
#3 筒井 大揮 (1)
#13 神宮寺 孝平 (1)
#14 倉島 航太 (1)
#15 細梅 靖晶 (1)
#18 難波 宏貴 (1)
#29 工藤 卓 (1)
アシスト
U22日本代表
#11 畑田 峻希 (3)
#14 倉島 航太 (3)
#3 筒井 大揮 (1)
#17 小山 久徳 (1)
個人賞
・Player of the Match Award:#11 畑田峻希(U22日本代表)
畑田選手

ゲームレポート
 (決勝戦の流れを、岩本祐介ヘッドコーチが振り返ります)

 ASPAC決勝戦の相手は、開催国であるタイ王国。
 照りつける太陽と2万人収容のスタジアム、8連戦目となる決勝戦は、選手達に目に見えないプレッシャーを与えた。

決勝戦3決勝戦4

 1Q先制点はタイ。
 なかなかリズムを作れない日本は、フルフィールドオフェンスで中央突破した難波が得点を挙げ、1-1で1Q終了。会場の雰囲気に呑まれ、パスがショートする中、1Q終了後には、前を向いて自信を持ってプレーするよう指示。

 2Qは、ディフェンスがボールを奪い、MFが縦に縦にとボールを展開し、#11畑田、#14倉島を中心としたATがしっかり得点を重ね、ラスト1分で5-3の2点リード。ここでタイムアウトを取り、ラスト15秒からスペシャルプレーで確実に1点を奪うように指示。残り3秒で#11畑田が想定通りにミドルシュートを決めて6-3で前半を終了。

決勝戦5決勝戦6

 ハーフタイムでは、ディフェンスシステムの変更を指示するとともに、最初の1点が流れを決めることから、立ち上がりの1分で落ち着いて攻めるよう指示。

 3Q最初の得点は、またしてもタイ。マークの受け渡しミスから失点し6-4。その後は、どちらの流れともならない一進一退の攻防を繰り広げ、3Qを4-3、トータル10-6で4Qを迎える。

 Q間で出した指示は、「Q開始3分~5分は時間をかけてじっくり攻めること。仮に相手に得点を奪われても3点差。攻め急がずに相手が焦ってくるのを待つこと。勝負は残り10分から。タイムアウトも2回残していることから、自分達を信じて冷静にプレーすること」

決勝戦8決勝戦9

 迎えた4Q。最初の得点は開始2分30秒、タイの#11による強烈なミドルシュートが決まり10-7、日本のリードは3点に。会場のムードもホスト国であるタイの逆転を期待する中、タイは元MLL選手#3チャド・ウッドソンを中心に波状攻撃を仕掛け、7分5秒、12分00秒と連続して#3チャド・ウッドソンに得点を決められ10-9。

 ここでタイムアウト。残り12分。指示内容は「1点差で勝っていることからオフェンスは慌てずに時間を消費し、確実に決められるシュートを撃つこと、ディフェンスは我慢し、クリアは焦らないこと。日本の得点パターンであるフルフィールドオフェンスは積極的に攻め上がりつつ、シュートチョイスをすること」

 タイムアウト後、1点差の中、U22日本代表は慌てることなく、タイムアウトの指示通り、ディフェンスでボールを奪って、ブレイクから#13神宮寺が豪快なミドルシュートを決めて11-9。

 残り3分からは、勝つためのラクロスを展開し、そのまま勝利。

決勝戦12決勝戦7

 U22男子日本代表が目指してきた「ハーフフィールドディフェンスでボールを奪い、フルフィールドオフェンスで確実に得点を奪うラクロス」を最後まで実践し、決勝戦ではパスカット9回をはじめ、ダブルチーム等によるボールダウンからフルフィールドオフェンスを展開し全11得点中6得点を奪い、優勝を掴み取ることができた。

 今回のU22男子日本代表活動を通して、ボールを奪う能力、グランドボールやパスカットからボールを繋げて、フルフィールドで得点を奪うラクロスは確実に浸透した。

 プレッシャーの中で落ち着いて得点を決め切れるシュート力、試合の流れを理解し適切な選択ができるラクロス脳を鍛えて、2018年世界選手権の舞台に立って欲しい。

決勝戦13

【U22男子日本代表の目指すラクロス】
ブロークンシチュエーションを作り出し、数点優位で確実に得点を奪うラクロス。15点以上奪うラクロス。

【U22男子日本代表の目指すラクロスのポイント】
(1) 2つ先、3つ先を予測したラクロス
(2) ボールを奪うラクロス(ボールマンプレッシャー・パスカット・ダブルチーム)
(3) グラウンドボールからの攻撃展開(グラウンドスクープ→チャンスメーカー→ネクスト)
(4) フルフィールドオフェンス時の1次、1.5次、2次攻撃→ハーフフィールドオフェンス
(5) ハーフフィールドオフェンス時のパススピード、パス精度、ディフェンスと駆け引きできるオフェンス

コメント
 喜田裕也/#1・MF/関西学院大学(4年)
喜田選手  昨年12月から半年間続いたU22男子日本代表活動も、7月11日(土)のASPAC決勝が最後の試合となり、優勝したという喜びと共にこのチームでもう試合ができないことに寂しさを感じています。代表活動を通して、毎回大阪から東京に移動するという厳しい環境でしたが、国を背負って戦うという貴重な経験ができました。この活動に参加するためにサポートしてくれた家族や寄せ書きをくれた他大学の選手には感謝の気持ちでいっぱいです。

 日本に帰れば、リーグ戦が待っています。各個人がさらに上のステップに向かうとともに各チームの目標達成するために努力していきます。これからも応援よろしくお願いします
 田村統馬/#12・MF/法政大学(4年)
田村選手 U22男子日本代表のみんなへ

 代表活動も遂に終わりました。いま思う率直な気持ちを書きます。
 「優勝できてよかった~」

 「日本代表として優勝するのは当然。力を見せつけろ」と言われてきて、そして日本を背負う立場として素直にこう思いました。

 私はこの活動を通して、別々のチームのみんなが1つのチームになっていくのを感じました。約6ヶ月もの間、私たちは一緒に活動を続け、ASPACの8連戦を共に戦い抜いてきました。このメンバーと戦えたことを誇りに思います。みんな本当にありがとう。一生の仲間を得ることが出来ました。
 しかし!これからは自チームの主力として全員がライバルになります。みんなでリーグ戦を盛り上げ、そして日本のラクロスを世界で飛躍させましょう。

・Text:2015年度22歳以下男子日本代表ヘッドコーチ・岩本祐介
・Photo:日本ラクロス協会広報部・小林航、2015年度22歳以下女子日本代表マネージャーリーダー・高橋直大