第25回ラクロス全日本選手権大会:決勝戦(女子)(2)

2014/12/29

第25回ラクロス全日本選手権大会
女子決勝戦  明治大学(白) vs NLC SCHERZO(緑)

試合試合

ゲームレポート
 観客で埋め尽くされた冬の江戸川区陸上競技場(東京都江戸川区)。
 前日は悪天候に見舞われたが、この日は晴天。決勝に相応しい舞台が整った。
 大学選手権覇者明治大学(以下、明治)、クラブ選手権覇者NLC SCHERZO(以下、NLC)の試合が始まった。

前半
 開始早々から、明治ドロワー#2松本がドローを獲り、リストレイニングラインを悠々と越えていき、シュートを決めた。開始10秒、1-0、明治が先制点を挙げ、会場を沸かせた。
 2度目のドローも明治#2松本が獲る。ゴール前へと繋ぐが、パスミスによりラインアウト。ボールはNLCへ。しかし、NLC#10井倉の前でバウンドしたボールを明治#51山本が奪い、ターンオーバー。流れは再び明治へ。#51山本から#41寺西へボールを繋ぎ、#5多賀がゴール左上からDF3人に囲まれながらも前半3分、安定感のあるシュートを決めた。
 その後、NLCのゴール前でのディテイニング、フリースペーストゥーゴールの侵害のファールが続き、2度目のファールのフリーシュートで明治#41寺西がシュートを決めた。前半5分で3-0と明治が突き放す。流れを止めることはできるか。

試合試合

 NLCがファールを幾度となく繰り返すも、明治もシュートが決まらない。互いにターンオーバーが続き、NLCもシュートがなかなか決まらない。均衡が破れたのは、前半12分。NLC#12浅井がゴール左横から中に入ってきた#10井倉がフィード。シュートを狙うも決まらずボールダウン。だが、すかさずグラウンドボールを獲った#13伊藤が#22青木にパスをだしシュートを決めた。
 その後、NLC#34藤原がデンジャラスフォロースルーのファールによりイエローカードが提示され、明治が優位に立つ状況となり、前半15分、明治#29鵜尾がシュートを決め、4-1、NLCに厳しい状況が続く。
 続くドローを制したのはNLC。明治のファールによりNLC#22青木のフリーシュートは惜しくも決まらずボールダウン。明治がグラウンドボールを獲りそのままゴールへと運ぶが、NLCのブロッキングにより、明治#87 のフリーシュートに。安定したパス回しから、この日2得点目となる明治#5多賀のシュートが決まり、5-1 前半残り7分。
 点差が離れても明治は隙を見せる事もなく、#41寺西がリストレイニングライン間を颯爽と走り抜け、シュートするも、これはNLCゴーリー#15西村のセーブによりターンオーバー。明治#4黒岩のデンジャラスチェックのファールによるイエローカードが提示され、NLCが1人多い状態での戦いとなったが、依然流れは明治のまま前半終了のホイッスルが鳴った。

試合試合

後半
 後半開始早々にNLCは明治に追加点を奪われてしまう。6-1、突き放しにかかる明治。
 そして、NLCのファールにより明治のボールになったが、明治#36佐久間のキープミスによりボールダウン。すかさずNLC#22青木がグラウンドボールを獲り、#19山田へのパスは通らなかったが、#10井倉がフォローに入りグラウンドボールを獲る。軽快なパス繋ぎによりゴール左上から#10井倉がシュートを決める。ここからNLC追い上げるか。
 点を決め流れがNLCへと変わったと思われたが、明治のペースに飲み込まれてしまう。2度のゴール前でのファールでNLCはピンチを招くが、NLCゴーリー#15西村のセーブによりターンオーバー。スピード感のあるパスを繋いでいき、ゴール裏からNLC#12浅井がゴール正面に切り込んでいった#10井倉にパスをし出し、クイックシュートをするも明治ゴーリー#57緒方に阻まれる。その後は互いにターンオーバーが繰り返され、シュートが決まらない。しかし、後半12分、NLCのファールから明治#41寺西にフリーシュートが与えられ、シュートするかと思われたが、ゴール裏からゴール左上に回った#36佐久間がシュートを決めた。
7-2、明治が突き放した。

試合試合

 しかし、ここでNLCがクラブチーム覇者の意地を魅せた。NLCがドローを制し、速攻を仕掛けシュートをするも明治ゴーリーにセーブされターンオーバー。しかし、明治のボールダウンにより、再びボールはNLCへ。落ち着いてパスを繋ぎ、ゴール裏からNLC#10井倉が大きく回り込んで、シュートを決める。7-3。この時点で後半14分。
 流れはNLCに。続くドローは明治に獲られ、明治#87宮本がディフェンスを剥がしてシュートをするも、NLCゴーリー#4富田がセーブ。ロングパスからクリアへと繋ぐNLC。しかしパスミスによりターンオーバー。なかなかチャンスが作れない。一方の明治も追加点を狙うが決まらない。焦りからか、明治#87宮本のヘルドクロスのファールによりNLCボールへ。ゴール前へ運びパスから#10井倉がシュートするも決まらない。チェイスはNLC#5木村が獲り、そのままシュートを決めるも、その後、再び明治に追加点を取られてしまう。NLC4点ビハインド。残り5分。ここからNLCの反撃が始まった。

試合試合

 互いにファールが続き、シュートも決まらず、NLCはここでチャンスを作りたいところ。残り3分、明治がグラウンドボールを獲り日本一のカウントダウンが始まったかと思われたが、明治ゴーリーがキープミスによりボールダウン。NLC#10井倉がそれを逃すことなく、拾いきり空いたゴールを狙いシュート。8-5、残り90秒。
 ドローが上がり、混戦になった。明治はグラウンドボールを獲り切ることができなかった。NLC#19山田が混戦を制した。落ち着いてパスを#10井倉に繋いだ。ここで明治のディテイニングにより#10井倉のフリーシュート。これが決まり8-6、残り1分。
 両者ファールのスローから試合が再開された。獲ったのはNLC。しかし、キャッチミスにより明治のボールとなる。ここで明治がポゼッションで時間を稼ぎに出る。だが、一瞬の緩みからか、ラインアウト。再びNLCにチャンスが訪れた。NLC#12浅井からのリスタート。パスは#19山田へと渡り、ゴール正面からシュートを決めた。
 これがNLCの底力。8-7、残り5秒。この日一番に会場を沸かせたプレーであった。

 しかし、惜しくも試合終了のホイッスルが吹かれた。
 8-7、NLC1点及ばず。明治勝利。

 この試合でNLCはファールが幾度となく目立ち、チャンスをものにできなかった。
 しかし残り90秒からの追い上げは会場を魅了し、試合を観ていたすべての人に感動を与えた。

 そして、今大会で初の日本一の栄冠を掴み取った明治の勝因は、前半からスピード感のある攻めと勢いだけでなく、パス、キャッチの正確性の高さであろう。
 それだけではない。明治を応援し続けたすべての人達が一体となり、日本一のチームを作り上げたのではないだろうか。

 観た人すべてが忘れることのないであろう歴史的名勝負となった。


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・Text:第25回ラクロス全日本選手権大会実施本部 東京会場 ゲームレポート・広報班・上原あやね(学習院大学)、石倉侑佳(成蹊大学)
・Photo:Photo:日本ラクロス協会オフィシャルフォトグラファー・海藤秀満