2017年度女子日本代表・イングランド遠征(3)・1日目ゲームレポート

2017/03/18

 2017年3月15日(水)に成田空港を出発し、トランジットを含め計14時間、無事ヒースロー空港へ到着、そのままバスで40分の今回の滞在先ホリーデイイン ギルフォードへ移動。
 翌日からの1日2試合を3日間、4日目1試合。計7試合連戦の遠征が、いよいよ開始となる。

イングランド遠征1イングランド遠征2

 *試合スコアの詳細はこちら

第1試合
時間:(現地時間)PM12:00
対戦:ENGLAND DEVELOPMENT TEAM
会場:AGP1 Surry Sports Park
 
チーム
前半 後半
女子日本代表
2
8
10
ENGLAND DEVELOPMENT
3
7
10
 対戦相手は、イングランドのU19代表対象年代とフル代表対象年代の間のギャップ選手を強化するチーム。
 次期代表候補、日本でいえばU22代表枠といったところか。

 予想はしていたが、全体的に日本選手より身長も高く、体格も良い選手が多い。
 前半は、1戦目の緊張感からか、硬い。
 お互いフィニッシュまで繋げず、ターンオーバーの繰り返しがしばらく続くが、2点先取される。対する日本は、15m半円のエリアまでは進むものの、フィニッシュで枠外、またはゴーリー足元へのシュートとなかなか得点に結びつかない。
 体格差のある外国人選手DFに対する間合い、当たる感覚が日本国内とは違うことの想定、は国内練習でもしていたが、実体感とはやはり違ったか。
 但し、今回の遠征では、その体感値の違いを実際に肌で経験し、対応する能力を付けることで、世界大会で“初めて”を防ぐ目的もあるため、自分達の感覚を磨く、調整力をつける試合と位置付けている。

 19分間際、#22小川がフリーシュートのチャンスを得るもポールで跳ね返り#19剱持が15m半円の外でフォロー、そのまま再度小川にフィードし、ゴール横からのシュート。
 日本、今遠征初得点を得る。
 これを機に少しずつ本来の動きを取り戻し、日本で練習してきたことを実際に何度も繰り返す流れとなる。
 個人技術、体力、筋力などのファンダメンタルスキルを向上し、世界と対峙することを目標に掲げる女子代表。体格に勝る相手選手に対し、“逃げない”で勝負する=DUELをオフェンスだけでなく、ディフェンスにおいても、一人ひとりが遂行することを念頭においてやってきた繰り返しを実際に行っていくのみである。

 後半は、ミスも減り、ボールが動きだし、コンスタントにシュートチャンスを得、得点を重ねる展開となる。また、ディフェンスでは、DUELのためのアプローチ、「相手にしっかり対峙する」が効果を発揮し始める。前半日本は12本シュートを撃って2得点、ENGLAND DEVELOPMENTは6本撃って3得点が、後半に入ると日本は13本中8得点、ENGLAND DEVELOPMENTは15本中7得点で、結果10-10の引き分けで終了。
 前半の立ち上がり、シュート決定率に課題は残るものの、DUELの勝負としては互角に戦える実感を持って、次のU19イングランドとの対戦へ続く。

イングランド遠征3イングランド遠征4

第2試合
時間:(現地時間)PM18:00
対戦:U19 ENGLAND
会場:AGP2 Surry Sports Park
ーム
チーム
前半 後半
女子日本代表
6
5
11
U19 ENGLAND
4
9
13
  対戦相手は、2015年19歳以下枠選手(第6回女子19歳以下世界選手権)で構成されるチーム。DEVELOPMENT TEAMより若く体格差はそれほど感じない。代表枠チームということもあり、たくさんの観客が観戦に来る。
 フィールドホッケー用フィールドで、人工芝とはまた違った質感。

 前試合終了から、4時間はさみ、開始される2試合目。ナイターであり、気温も下がっている中、移動の疲れ、緊張の1試合目から1回目のコンディションピーク。
 本遠征は、3日間・毎日2試合、試合間間隔も日に日に短くなるというきついスケジュール。
 試合後、短い時間内で思考を整理し、体力回復がどれだけできるかのチャレンジコース。
 本大会では、2週間1日1試合、期間中はオフ日1日有のスケジュールのため、選手にとっては遠征のほうが、タフであることを要求される。

 前半は、高く上がるドローボールのコントロールができず、ボールポゼッションに苦労する展開となる。前半12回ドローのうち4本コントロールのみ、後半に入ると14本中11本のコントロールという結果になる。
 高く上がるドロー。身長差がさほどないと思われる相手選手でも、腕のリーチ及びリストの強さで、日本選手が届かない状況がある。相手も完全にボールをスティックに収めるコントールをしているわけではないが、リーチの差で相手スティックに当たったボールがグラウンドボールやバウンドするなどし、混戦状態。
 混戦状態に体で入ってくる相手選手に対し、スティックだけで対応しがちな日本は、ボールを収めるところまでいかない。それでもこの試合では、双方がコンスタントに得点を重ねる展開となり、前半6-4の日本リードで折り返す。

 後半、センターを#21稗田に加え、#17井上の体制に変更。ドローボールが低く飛ぶように変わり、コントロール率がアップしたのは、前述のとおり。

 “リストレ(リストレイニングライン)は、優位な状況で越えるもの” =アコーディオンオフェンス。
 日本の練習でも多くの時間を割いて練習を行ってきた、日本代表が行うフルフィールドオフェンスの一つ。
 ゴーリーからのクリア、ターンオーバーからアタックエリアにボールを運ぶ際、日本代表は、走る方向、体の向き、パスの角度、距離、動きだしのタイミング、視野、様々な要素を使い、ボールが動き、優位な状態でリストレイニングラインを越えることを行ってきている。
 様々な要素を使用し、相手ライドの予測を外す状況を作り出し、自分達に優位なエリア、瞬間で、ボールが相手ゴールへ向かう。 “ボールを動かす”ではなく、“ボールが動く”。

 この試合では、動きの硬かった1試合目に比べ、このアコーディオンオフェンスを機能させ、優位な状態でリストレイニングラインを越える状態を作り出すことが徹底でき、外国選手相手で戦法としての効果の手応えが見えた。

 “シュートは、撃つものでなくて、決めるもの”
 ゴーリーの目線、クロスの動きの角度、限度を知り、得点となるシュートをする。
 日本でも練習はしてきたが、いざ試合になると、最後のフィニッシュの瞬間で、ゴーリーを読み、駆け引きをし、シュートを決めることについては、まだまだ課題を感じる展開となった。
 前半、日本は10本中4得点 後半は17本中5得点のシュート決定率である。

 後半、日本が撃っても得点に繋がらない中、U19 ENGLANDがポゼッションし、そのままドライブで1対1で決められる状況が生まれる。
 外国チームと対峙するときに、怖いのがこれである。まるでスイッチが入ったかのように、短い時間内でドライブでシュート、得点される。過去の日本代表もこのパターンで負けることがあり、日本にとっては負けパターンの一つ。
 後半15分以降、続けて6点を重ねられ、日本も応戦するも、結果11-13で、U19 ENGLANDに敗れる試合となった。

 1日目が終了し、自分達がやってきたことへの手応えと、一方課題と見えてきた。勝ち負けだけでなく、今自分達がやっていることの精度を上げるため、2日目に続きます。


 *2017年度女子日本代表・イングランド遠征参加選手
 
 2017年度女子日本代表・イングランド遠征 概要
遠征期間  2017年3月15日(水)~3月20日(月祝)
遠征先  イングランド・ギルフォード
試合予定 3月16日(木) 12:00(現地時間)  対 ENGLAND DEVELOPMENT TEAM
18:00(現地時間)  対 U19 ENGLAND
3月17日(金) 12:00(現地時間)  対 SCOTLAND
17:00(現地時間)  対 ENGLAND
3月18日(土) 10:30(現地時間)  対 DURHAM UNIVERSITY
15:00(現地時間)  対 ENGLAND
3月19日(日) 10:30(現地時間)  対 WALES

Text & Photo by 2017年度ラクロス女子日本代表ゼネラルマネージャー・内山典子