2014男子世界選手権・第5戦(イングランド戦)

2014/07/17

7月15日(11日目)
2002年、イングランドに1点差で劇的勝利をし、日本はBlueディヴィジョンに上がることが出来た。
しかし、それを最後にイングランドには前回、前々回大会も敗戦を喫している。
特に前回大会は延長戦にもつれこんで敗戦。力としては互角。
あとは気持ちを強く持ち、自分達の戦いができるかどうかにかかっている。
イングランド戦1イングランド戦2

7月15日(火)のスケジュール
 ・朝食
 ・ケア
 ・昼食
 ・移動
 ・補食
 ・vsイングランド (Blue Division第5戦)
 ・ミーティング
 ・夕食
 ・ケア


日時:2014年7月15日(火) 14:00試合開始
日本代表(白) vs イングランド代表(赤)

スコア
チーム
1Q
2Q
3Q
4Q
EX1
EX2
TOTAL
日本代表
5
1
3
3
1 0
13
イングランド代表
2
3
3
4
0 0
12
得点者
日本代表
#4 畑田 峻希 (2)
#7 池川 健 (2)
#11 忠平 裕司 (2)
#20 アンドリュー レイ (2)
#3 関根 幹祐 (1)
#9 継 渉 (1)
#13 岩野 岳 (1)
#17 小澤 徹也 (1)
#23 山口 悠 (1)
天候は曇り。日本に雲が重くのしかかってきているようであった。
4連戦連敗。今日の対戦相手は前回大会で延長戦の末敗れているイングランド。
日本にとってはいやな空気であった。

昨日の試合結果を持ってメダルの夢は潰えるも、現時点で最高である5位を目指さなくてはいけない。
将来の日本ラクロスのために。いや、何よりも自分たち自身のために。

イングランド戦イングランド戦

第1Q
試合開始早々いやな雰囲気を一掃したのは#11・忠平の豪快なシュートであった。
その後も立て続けに#10・本下が仕掛けて、裏から#4・畑田が仕掛ける。DFの間をすり抜けて連続得点。先制点から2点のリード。しかし、イングランドも猛追します。クリアミスを見逃さず、ミドルシュートを決められる。
忠平選手本下選手
[左:#11・忠平/右:#10・本下]

このクウォーターを勝ちにいき試合を有利に進めたい日本。#1・篠原の好セーブから、大久保ヘッドコーチがタイムアウトを取る。攻撃は単発になり、相手ボール。しかし、このクウォーターの流れを作ったのは#22・星だった。相手のシュートが外れるとボールを追い日本ボール。そして、ボールを持ったのは#23・山口。ミドルシュートで今大会3得点目を撃ちぬいた。
その後も、味方のボールダウンに反応した#17小澤が#20・アンドリューの得点を演出。クウォーター終了間際には、2度、ディフェンスを綺麗に崩し得点。
5-3と確実ではないものの、2点のリードで1クウォーターを終了します。
イングランド戦イングランド戦

第2Q
流れがどちらにも行かず、不安定な流れであったのを日本に寄せたのは篠原のセーブ。ここからさらなる得点が予想される流れであった。しかし、マイボールにするも日本の前に立ち塞がったのは雷であった。コロラド州、デンバー独特の雷により、試合が中断。
イングランド戦高橋SC
[右:高橋ストレングスコーチ]

中断中、大久保HCから集中を切らさないように指示が出される。頃安マネージャー、高橋ストレングスコーチも試合再開に向けて選手を送り出せるように準備を進める。まさにチームの力が試される試合となった。
30分の中断を挟み、試合が再開。

日本ボールからの再開の後は、ミスが有るも日本の流れはまだある。しかし、得点を重ねることは出来ない。簡単なミスでボールを失うと、イングランド#18がボールを持って強烈にゴールに向かい、得点される。ゲームは1点差。取っては取られる展開。シーソーゲームのまま、残り7秒、#6・弘中がボールを持ち前線にボールを供給しシュートまでいくも前半終了。2Qを終える。
イングランド戦イングランド戦

第3Q
中断の影響でハーフタイムも短くなり、すぐさま後半は開始された。

いい形で前半を終えた日本。攻め急いだイングランドのパスミスを#27・畠山が確実にグラウンドボールでものにする。#10・本下が仕掛けシュート。弾けたセカンドボールを#3・関根が獲りビハインドシュート。ビハインドでしか入らない一番確実なシュートが決まる。これを機に#5・畑田が得点。#23・山口のプレッシャーから、日本ボールとなると、#1・篠原がハーフフィールドに上がり攻撃参加すると、#13・岩野が応えスコア。点差を4点、9-5とする。
関根選手岩野選手
[左:#3・関根/右:シュートを放つ#13・岩野]

イングランドに流れが行きかけるも、篠原のスーパーセーブでことごとく流れを切る。
しかし、イングランドも黙ってはいない。3人で囲み#20・アンドリューのミスを誘うと、流れはイングランドに。3連続で得点されてしまう。イングランドの流れのまま3Qは終了。

1点のリード。しかし、前回大会、終了間際の18秒で2点取られて負けている相手。
一切、気はは抜けない。

イングランド戦継選手
[右:#9・継]

第4Q
4Qは#33・陳野のフェイスオフ圧勝で始まる。その後、#17・小澤の豪快なジャンプシュートが決まり再び2点のリードとする。またもここから流れを寄せたい日本に天候が邪魔をする。雷により、本日2度目の中断だ。

陳野選手小澤選手
[左:フェイスオフを争う#33・陳野/右:ジャンピングシュートを放つ#7・小澤]

この中断、先程と同じく30分強。選手はそれぞれの方法で集中力を高めた。
試合再開時にその集中が形となる。崩れた形から#11・忠平がシュートと見せか けてDFをあざ笑うかのようなパス。畑田が得点し本日2回目となる3点のリード。11-8。
ここからイングランドの猛攻が始まる。フェイスオフを取るものの、2分間で2点の失点。差が縮まる。#3・関根のボール供給から、#17・小澤の3連続シュートや、#11・忠平の強烈なシュートが決まるもにじり寄られる。
誰も気は抜かないが、残り19秒。日本の攻める姿勢がないと判断されストーリングのファウルを取られ、相手ボールとなり、ここでイングランドはタイムアウトを取る。
誰も抜からなかったが、勝利まで残り9秒のところで得点されてしまう。

忠平選手イングランド戦
[左:シュートを決めてガッツポーズをする#11・忠平]

延長戦
ここまでで中断も含め4時間弱の試合時間。もはやラクロス以上に精神の戦いだった。
オーストラリア戦に続き延長戦に突入することとなった。4年前の悪夢が脳裏をよぎる。しかし、日本代表は4年前から進化していた。

延長戦は、4Q終了間際に、陳野のフェイスオフでのに痺れを切らした相手からフルスイングのチェックを受けフラッグダウン(ファール)となっていたため、人数が有利な状況での日本ボールで始まった。
しかし得点は出来ず、あっという間にイングランドボール。イングランドが終始ボールを持ち、得点を狙ってくる。しかし、日本は守ってはいない。ボールを奪い得点することが頭にあった。相手のパスミスを逃さない日本、篠原からクリアを#19・水田(主将)にボールが渡る。しかし、相手のボディチェックでボールダウン。日本の攻撃が終わるかと思われた。こぼれ球を拾ったのは#26・谷嶋だった。簡単にボールをすくい、前線にボールを供給しようしたところ、必死に止めようとするイングランドがファール。日本のエキストラマンオフェンスとなる。

延長前半残り21秒、至ってシンプルな得点だった。得点できるエリアにボールを運び、忠平、小澤がDFを動かす。誰もが継のシュートを確信するもゴール横で構えていたのは#7・池川だった。ゴールマウスに誰もいない状態で確実に決めた。あまりにシンプルで派手さはない。しかし紛れも無い得点だった。
13-12。
水田選手アンドリュー選手
[左:#9・水田/右:#20・アンドリュー]

後半は長い4分間となる。イングランドボールとなり2分間の猛攻。篠原が声をかけディフェンスを統率。ピンチを切り抜ける。
気を抜けない状況の中、誰もが守りを固めてしまいそうだが、#23・山口のチェイスで日本ボール。
だが、90秒を残して再び、イングランドボール。しかし、ボールの所有権を許さなかったのは水田。インターセプトをして、日本にボールをもたらす。残り30秒でタイムアウト。
大久保HCの指示は通訳スタッフの武藤に向けたものだった。武藤を通して会話をしたのは#20・アンドリュー。試合再開。ボールを保持して、駆けまわるアンドリュー。イングランドの選手を置き去りにする。1秒1秒がゆっくりに感じた。
残り3秒。相手にかこまれて窮地となるも、その状況を止めたのはホイッスルだった。試合終了。

イングランドに対して12年ぶり2回目の勝利だった。

4時間以上の過酷な戦いを終えた日本。休息は許されない。
試合終了から約20時間後、日本時間17日午前3時にはPlay In Gamesで、下位ブロックのニュージランド(Red Division他32チーム中4位)との対戦が待っている。
ここまで連敗していた日本、個人に、今日の勝利は大きな自信をもたらす事は間違いない。天候も荒れ、試合も荒れた。5位までの道のりは険しいが自分達を信じて勝ち切るのみ。

頑張れ日本!

イングランド戦イングランド戦

 
■日本代表・第6戦 Play In Games ニュージーランド代表
  7月16日(水)・12:00~ [日本時間:7月17日(木)・3:00]

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Text by:日本ラクロス協会事務局次長補佐(関東地区)・浅井威宏
Photo by:日本ラクロス協会オフィシャルフォトグラファー・海藤秀満、同広報部・臼井杏美