第26回ラクロス全日本選手権大会:準決勝戦(男子・東京会場)(2)・ゲームレポート

2015/12/19

日時:2015年12月13日(日) 11:00
場所:東京・大井ふ頭中央海浜公園第二球技場


日本体育大学(白)vs Stealers(緑)

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ゲームレポート
 12月13日、天気は晴れない中、日本体育大学(以下、日体)は旗を担ぎ、Stealersは緑のウィンブレを背負い両チーム滾る(たぎる)闘志でアップを開始した。雨の影響でパス精度が落ちるかと思いきやさすが社会人チーム、Stealersはアップ中からスティックワークを見せつけてくる。その間、日体は接触系のメニューでアップを開始、足にテーピングしている人がStealersの選手よりはるかに多いが体力は誰にも負けない勢いのアップだった。
 この天気と低い気温の中、お互いの選手のメンタルの強さがどうプレーに影響するか期待される。

準決勝戦1準決勝戦2

1Q
 1QはStealersのフェイスオファー#88・郡司将吾が圧倒的早さでボールを鮮やかに抜き取り、横のLMF#1・市原一輝に掻き出した。そこから、すぐ市原が下に叩き、AT#47・堀内茂大が一旦流れを止め、Stealersのポゼッションで全日本選手権準決勝は始まった。
 最初はあまりStealersのオフェンスセットも焦らず、日体のディフェンスを様子見るかのように軽く1対1を掛け、安定間のあるパス回しを続けていた。これに対し日体も怯んでいるはずがなく、DF#5・森田莞司のプレッシャーでボールダウンにすると、そのまま日体得意のランニングクリアで日体ポゼッション。日体も勢いに乗ったのか序盤から飛ばしていく。

 ゴール上からの1対1は、一本一本Stealersディフェンスの流す方向とは逆の方向に強い勢いで掛けていたが、Stealersはそれを見通したかのように早めにスライドを飛ばしてダブルチームに成功。早稲田大学在学中にディフェンスリーダーを務めていたStealersのDF#27・岡田昌紘が、グラウンドボールからのロングパスではなく、意表を突くバウンスパスでATまで繋げるスーパープレイをこなした。
 ここからのプレーは、日体のゴーリー#6・佐々木宥耶のナイスセーブがあり、Stealersは流れに乗れず日体ポゼッション。ボールが日体のエース、MF#7・神宮寺孝平に渡り、一旦落ち着かせてから日体が攻撃を始めた。そこで日体AT#69・長谷川遼が華麗なバウンドシュートで先制点をとった。

 それに負けじと、Stealersのファイスオファー#88・郡司がフェイスオフを連続で獲り、またもやStealersのポゼッションに繋げる。日体のプレッシャーでボールダウンするが、AT#14・池川健が良いグラウンドボールの寄りでそのままシュートを決めStealersを同点に追いつかせた。
 その後のフェイスオフもStealersがポゼッションを取る。日体はプレッシャーに行ったところでスラッシングのファールをしてしまい、マンダウンディフェンスになってしまう。Stealersは日体の強いマンダウンディフェンスの隙を突けず、エキストラマンオフェンスで加点できないまま日体のペナルティーが解除されたが、MF#10籾山和哉とAT#47・堀内茂大によるゴール裏のツーマンプレーでうまくディフェンスを欺き、パスフェイクからの捲りシュートでゴール。Stealers有利の1-2で1Qを終えた。

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2Q
 1QのフェイスオフはStealers#88・郡司が圧倒的に勝っていたため、日体は対応策を取ってきた。フェイスオフは#88・郡司に獲られるものの、それに負けじとウイングのLMF#11・土屋智大とMF#26・大久保直樹の素早いダブルチームによりStealersが落ち着いてキープする前にボールダウンさせ、日体ポゼッションとなって2Qが始まった。
 ここから日体の攻めは安定感があり、パスミスも起こる気配がなく、Stealersのディフェンスには長くて辛いディフェンス時間になった。Stealersの選手には疲れが出たのか、1Qで良く見られたロングディフェンスによる単独のプレッシャーは見られず、1対1は比較的弱く当たっていて、スライドを早めに飛ばして守備のローテーションをしているイメージであった。そこでの隙を見越したかのように、日体MF#66・安室修平のクリースへのフィードでMF#4・荒籾有希がクイックスティックでシュートを決め2-2。日体を同点に追いつかせた。

 その後のフェイスオフでも、Stealersは#88・郡司が勝つが、日体のMFの物凄いプレッシャーに耐えられずライン際まで追い込まれラインアウトしてしまう。せっかくフェイスオフは勝っているのにStealersポゼッションに繋げられない繋げられない状況に、郡司は悔しさを見せる。
 この状況をチャンスと見た日体は、ポゼッションからがんがん攻めるが、パスミスでボールを落し、Stealersのゴーリー#26・小川健太に拾われクリアに入られた。そこをなんと、今度はStealersがパスミスをしてしまい、#26・小川がクリースから出ている状態で日体ボールになってしまう。ここで日体MF#66・安室が悠々と点を決め、3-2と日体が勝ち越した。

 その後のフェイスオフでもなかなかStealersはポゼッションに繋げられず、Stealersのディフェンスが日体をボールダウンさせてもグラウンドボールはほとんど日体に獲られ、日体のライドに適応できずクリアミスも多く、日体のポゼッションが目立った。
 そして、Stealersが、トップから仕掛けてきた日体のMFに対して横スライドで対応してしまい、完全にフリーな状態でパスを受けたAT#69・長谷川にランニングシュートを撃ちこまれ4-2、日体が点差を広げた。その後もStealersは攻められるがまま2Qは終了した。

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3Q
 ハーフタイムは物凄く冷え込み、雨はあまり強くはないものの止む気配はしなかった。この状況のなか、後半の流れが変わるか期待される状況でもあった。

 郡司がハーフラインに立ち、フェイスオフを圧倒的早さで獲ると、今度は確実にATにパスを叩いた。良いスタートだが雨の影響か両チームともにパスミスやパスカットが目立ち、クリアからのオフェンスで両チームのMFがフィールドを物凄い勢いで行き来していた。
 ここで日体がStealersのトランジションオフェンス(切り換えの早い攻撃)を止めるため、テンマンライドを仕掛けてきた。Stealersは、テンマンライドに対し、ATに繋げることは難しくても、ゴーリーがゴールクリースから出ている状況なので、MF#9・鈴木伸吾はそこを狙いスタンディングシュートをリストレイニングライン付近から決めた。4-3。Stealersはまだ負けてはいない。

 その後、日体ポゼッションになると、Stealersのディフェンスのローテーションが日体のボール回しについていけず、日体のATがクリース付近でフリーになってしまう。日体はそのATをめがけてフィードを出すが、Stealersのゴーリー#26・小川がボディーチェックでなんとか阻止。小川のパッションにテンションが上がったStealersは、周りのDFもナイスディフェンスを連発。それに対して日体も気合が入ったのか、1Qと比べても負けないほどの勢いでダッジを掛けていく。
 日体はMF#77・才木琢斗が強いアレーダッジを掛け、見事なランニングシュートを決め5-3.。Stealersには点差を縮めさせない。ラスト20秒でのフェイスオフに日体は勝つが、StealersのLMFにグラウンドボールを拾われるとスタンディングシュートを撃たれるが、日体ゴーリー#6・佐々木がセーブし、3Qが終了した。

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4Q
 ラストクウォーター、果たして日体はこのまま逃げ切れるか、それともStealersが追いついて逆転勝利するのか、物凄く緊迫とした状況でラストクウォーターが始まった。
 ここで早速、Stealersにエキストラマンオフェンスのチャンス。ここはStealersとしてはしっかり点を取って勢いに乗りたい場面だが、勢いが余ってしまったのかクリースに難しいフィードを出してしまい、日体ポゼッションになってしまった。
 だがここでStealersのゴーリー#26・小川がナイスセーブを見せる。鉄壁の守りで日体にこれ以上点差を広げさせない。そしてStealersMF#22・倉田康平が迫力ある捲りシュートを決め、5-4。この試合を1点差にする。

 ここから日体はポゼッションを取ると、時間稼ぎのプレーを見せ始め、審判からストーリングの警告がでる。その状態が長く続く中、何とかボールダウンをさせてオフェンスに繋げるStealersだったが、ATが無理なフィードや、安易にセーブされてしまうシュートを見せ、焦りが出てきている模様だった。
 だがそれでも諦めないStealersは、DF#17・弘中達也がナイススライドでボールダウンをさせると、そのボールをMFに繋げ、物凄い勢いのあるトランジションオフェンスを始めた。それに対し、ここまで堅固であった日体のディフェンスもローテーションが間に合わず、StealersのAT#47・堀内が点を取り、なんとラスト1分で同点に追いつく。
 そのままラスト1分はお互いが攻め合ったが、どちらも点が取れず、試合はオーバータイムに突入する。

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延長戦(オーバータイム)
 延長は、サドンビクトリー方式で行い、最初に点を決めたチームの勝利となる。

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延長1Q
 Stealersの#88・郡司がフェイスオフを獲り、Stealersはセットオフェンスを開始するが、パスカットされ日体のポゼッションになる。今度は日体が攻めると思いきや、Stealersのロングディフェンスがパスカットをして、またもやStealersポゼッション。そのまま緊張感が漂うなか、ターンオーバーが続き、最後は日体がバーにシュートを当て、Stealersポゼッションとなったところで延長1Q終了。

延長2Q
 Stealersのポゼッションで延長2Qが始まると、Stealersは凄く慎重なパス回しを始める。一度はパスカットされるものの、ライドですぐボールを取り返すが、日体はディフェンスで隙を見せないまま、Stealersポゼッションで延長2Qも終了。

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延長3Q
 延長戦の「サドンデス」に対する過度の緊張感も収まり、Stealers最初からクリース付近へのフィードで攻め始める。延長戦も長引き、さすがの日体も体力が尽きてくるかと思いきや、正確にセカンドスライドを共有したプレーや、Stealersの強い1対1に対して素晴らしい個人技を見せる。Stealersのオフェンスは、またもやポゼッションを持ちながらも点には繋げられず、延長3QもStealersポゼッションのままで終了。

延長4Q
 Stealersポゼッションで延長4Qが始まると、日体のスラッシングのファールにより、Stealersはエキストラマンオフェンスに突入。これは絶好のチャンスだと見てとったStealersはシュートまで繋げたが、日体ゴーリー#6・佐々木は、クリース前という千載一遇のチャンスでのStealersの渾身のシュートを、圧倒的気力を見せてセーブをする。

 日体は、このプレーからクリアに繋げた後、MFがシュートを撃つと、Stealersのロングディフェンスにボールが当たりルーズボールに。日体ATがそのルーズボールを拾い、再度シュートを撃つが、今度はバーに当たり跳ね返る。その跳ね返った先には日体AT#69・長谷川が立ち構えていた。
 #69・長谷川はうまくDFのチェックをかわし、見事なアンダーシュートで得点を決め、オーバータイムは観客席から大きな喝采の中、日体の勝利で幕が降りた。

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・Text:第26回ラクロス全日本選手権大会 東京会場実施本部 ゲームレポート・広報班・小泉悠靖(Waseda Junior LC)
Photo:日本ラクロス協会オフィシャルフォトグラファー・海藤秀満、同広報部(関東地区)・小林航