【日本ラクロスの四半世紀・第1回】 「ラクロス」の始まり

2012/02/15

ラクロスとは、もともと北米先住民族のスピリチュアルなゲームとして、肉体・精神の鍛錬や様々な神事を目的に行われていました。

そして1636年に、北米を訪れたフランスの宣教師が、この部族間で行われていた行事について本国に報告しています。その際、行事で使用されていたスティックがカトリック司教が持つ杖「la crosse」に似ていたことからラクロスという名前がついたと言われています。

その後、19世紀頃から開拓者たちが始めたのが現在のスポーツとしてのラクロスです。
そしてヨーロッパに伝えられると、イギリスで女子ラクロスが盛んに行われたため、当初の女子のユニフォームには、スコットランドの民族衣装に似た、タータンチェックのスカートが多く用いられていました。

北米先住民族のラクロス北米先住民族のラクロス
[写真提供(左):US Lacrosse lnc.1998]

 世界へ伝播するラクロス
スポーツとしてのラクロスは、北米を中心に、19世紀中頃から急速に広まっていきました。

1636年 カナダ・オンタリオ州のサンダー湾附近で、北米先住民族・ヒューロン族がラクロスを行っているところを目撃される。
1856年 「モントリオール・ラクロス・クラブ」が結成。
1867年 カナダ自治領成立。年の初めには6チームしかなかったラクロスのクラブが年末には80チームあまりも結成される。
カナダのウイリアム・ビアーズが初めてのラクロスルールを設定。
トロント・アッパーカナダ大学に、初の学生チームが結成。
カナダ全国ラクロス協会設立。
18人の選手達が、英国・アイルランド・フランスに遠征。ヴィクトリア女王の天覧試合やパリ万国博覧会での試合を行う。
1868年 英国ラクロス協会設立。
アメリカでは初めてとなるラクロスクラブ、「トロイ・モホーク・クラブ」が結成。
1874年 オーストラリアにラクロスが伝来。
1875年 現存する世界最古のクラブチーム、「ストックポート・ラクロスクラブ」が結成。
1876年 カナダのチームがイギリスを訪問。ウィンザー城でヴィクトリア女王にラクロスを披露し、歓待を受ける。
以後、イギリスで近代ラクロスの起源となるルール整備(ゴールの形状、試合の形式、等)が進む。
1879年 米国全国アマチュアラクロス協会が設立。ハーバード大学、ニューヨーク大学などの12のクラブが加入する。
1890年 女子ラクロスが英国で始まる。
1905年 全米大学ラクロス・リーグ設立。このリーグは1971年に全米大学体育協会(NCAA)に移管される。
1972年 国際女子ラクロス連盟(IFWLA)が、初代会長マーガレット・ボイド(英国)により設立される。
1974年 国際ラクロス連盟[男子](ILF)設立。
2008年 ILFとIFWLAが統合し、国際ラクロス連盟(FIL)が設立される。
競技化されるラクロス競技化されるラクロス


 国際試合の伝統
ラクロスにおける国際試合の伝統は、1860年にカナダのモントリオール・ラクロス・クラブが、コウナガワ族、セントリージス族と戦った時にさかのぼります。
その後、1904年(セントルイス)、1908年(ロンドン)、1928年(アムステルダム)、1932年(ロサンゼルス)、1948年(ロンドン)の各オリンピックで公開競技となったラクロスは、1967年に男子の第1回世界大会(カナダ・トロント)が、1982年に女子の第1回世界大会(英・ノッティンガム)が始まり、世界一を決める大会として今に続いています。

2010男子世界大会2009女子世界大会
[左:2010年男子世界大会/右:2009年女子世界大会]


『第2回 1986年・日本ラクロスの第一歩』 へ続く

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