【日本ラクロスの四半世紀・第13回】 1997年・女子世界大会開催と新たな取り組み

2012/05/10

 1997年(平成9年)
2月 日本ラクロス協会ホームページの試験運用開始。
女子世界大会の情報を掲載していく。
3月 第1回ラクロス献血推進キャンペーンを開催(29日、秋葉原・駅前広場)
中国への普及支援開始。
日中科学技術文化センターの仲介により、北京体育大学にラクロスを紹介する(10日、北京)
4月 ラクロスマガジンジャパンを一旦休刊し、機関紙『RELAX2』を発刊。
5月 第5回IFWLA女子世界大会を東京で開催(4月27日~-5月4日、東京・江戸川区陸上競技場、参加7ヶ国)
1,000人を超えるスタッフが大会運営に当り、8日間で4万人を大きく超える来場者(45,831人)が観戦した。
 ※当時の大会特設ページはこちらから (アーカイブページが開きます)
 ※当時の大会ギャラリーページはこちらから (アーカイブページが開きます)
この大会では、日本から派遣された小出淑子審判員、大塚紀代子審判員が、日本の女子審判員として初めて、ナショナルチームの出場する世界大会の舞台で審判員を務めた。
大会には、中国(北京体育大等)の関係者と、国際青少年団体の仲介により韓国の関係者を日本に招待する(女子世界大会の視察等)
九州地区にて、鳥栖カップ'97を開催(5月18日~6月29日、決勝戦:佐賀・鳥栖スタジアム、第1回大会)
優勝チームには、第2回JAPAN CUPへの出場権が与えられた。
男女各8チームが出場し、男子・福岡大学、女子・西南学院大学が優勝した。

[男子]福岡大、北九州大、福岡工業大、久留米大、第一経済大、九州大、西南学院大、博多ラクロスクラブ
[女子]福岡大、西南学院大、北九州大、久留米大、中村学園大、九州女子・西南女学院合同、九州・福岡女子・福岡工業大合同、F・EMPRESS
7月
 
中国・北京体育大にスタッフを派遣し、第1回訪中クリニックを実施(3~7日)
北京体育大の研究員を対象に、男子及び女子の基本的な技術及びルールの指導を行った。
東北地区にて、Country Open '97を開催(5~6日、福島・ルネサンス棚倉)
ラクロスフェスタ及び第2回JAPAN CUP東北地区予選を実施した。
JAPAN CUP予選には男子4チーム、女子8チームが参加し、男子・東北大学、女子・東北学院大学が優勝した。

[男子]東北大、新潟大、東北学院大、日本大郡山
[女子]岩手大、新潟大、東北福祉大、郡山女子大、東北大、国際医療福祉大、東北学院大、宮城学院大
スコットランド・日本交流戦を開催。
(東京会場:10日、江戸川区内/大阪会場:11日、舞洲スポーツアイランド/第9回ラクロス国際親善試合)
 ※当時の大会情報掲載ページはこちらから (アーカイブページが開きます)
8月 関西地区で初めてとなる女子高校生対象のTeen'sDayCampを実施(2日)
前年の12月から準備が進められ、約70名が参加した。
関西地区にて、Teen'sCup'97(第1回関西高校女子夏季リーグ戦)を開催(開会式:21日)
6チームが出場し、RED PANTHERS(箕面自由学園高校)が優勝した。 
第2回JAPAN CUP選手権大会を開催(20~22日、予選:岐阜県美濃市・ギャラクシースポーツプラザ他、決勝:名古屋市・瑞穂公園ラグビー場)
優勝チームには、第8回全日本選手権大会への出場権が与えられた。
全国から97チームが参加し、男子は東日本ラクロスクラブ、女子はWISTERIAが優勝した。
大会日程の関係で翌年以降の開催は取り止めとなったが、北海道・東北・中四国・九州のチームに全日本選手権大会に出場する方法が与えられたことは、翌年から始まる4地区予選に繋がっていった。

[男子]大阪産業大、名古屋大、東北大、福岡大、北海学園大、岡山大、東日本ラクロスクラブ
[女子]金城学院大、東北学院大、西南学院大、北星学園大、愛媛・松山ラクロスクラブ、神戸ラクロスクラブ、WISTERIA
9月 来日した北京体育大のコーチ4名に対し、ラクロスコーチ研修会を実施(10~16日、東京等)
男女のスティック(各25本)を寄贈する。
韓国・慶熙大学(Kyunghee大)を視察、普及支援を開始する(29日~)
10月 新入生勧誘・育成プロジェクト(FPJ)を開始
ホームページの試験運用を終了し、協会公式ホームページ『JAPAN LACROSSE NETWORK』を開設。
12月 東海地区の学生連盟支部化に伴い、東海地区のチームが初めて全日本選手権大会に出場した。
出場した男子・名古屋大、女子・金城学院大は、それぞれナニワラクロスクラブ(1-11)、神戸ラクロスクラブ(3-13)に1回戦で敗れたが、全国大会の舞台に一歩を踏み出した(7日、京都市・宝が池球技場)

 女子世界大会の開催
前年の男子19歳以下世界大会開催に続き、女子世界大会を東京・江戸川区陸上競技場を舞台にして開催した。

日本は連敗という結果になったものの、カナダ戦での勝利など大健闘を見せたウェールズの活躍や、予選リーグにて2大会連覇をしていたUSAをオーストラリアが破った一戦、そして延長戦でも決着がつかずサドンビクトリーにまで及んだ戦いにスタンドが沸き返った決勝戦など盛り上がる試合が多くあり、大会は成功裏に終了した。

また、ラクロス普及支援活動の一環で招待した中国・韓国の視察団の意欲も高まり、将来のアジアパシフィック大会(ASPAC大会)に繋がる大きな成果も得ることができた大会となった。
女子世界大会パンフレット女子世界大会1
[左:大会パンフレット / 右:開会式]

女子世界大会2女子日本代表
[左:大会会場の江戸川区陸上競技場 / 右:女子日本代表]

女子日本代表2
女子世界大会3女子世界大会5
女子世界大会2女子世界大会4女子世界大会5
[中左:サドンビクトリーにもつれ込んだ決勝戦/中右:大会ベストプレーヤーに選出されたウェールズのジョーンズ選手]

日本人派遣審判員ホームページ運用開始
[左:開会式で審判宣誓をする日本人派遣審判員の2人/右:この大会から協会公式ホームページの試験運用を開始]

 社会貢献の取り組み「献血推進活動」のスタート
「ラクロス献血推進活動」は、日本赤十字社からの「1年のうちで3月が最も血液が不足する」という呼び掛けに対し、若い世代の献血意識向上のために、ラクロスが率先して献血を推進していくことを目的として始まった。
一人ひとりが声掛けを行い、ラクロスの選手たちを中心に多くの人が協力するこの取り組みは、以後毎年間断なく、また全国各地区に開催地を広げて実施している。

 ※2012年『第16回献血推進活動』の活動レポートはこちらから

ラクロス献血推進活動1ラクロス献血推進活動2
ラクロス献血推進活動3ラクロス献血推進活動4
[上左:1997年開催時の活動風景 / 上右・下左右:1998年開催時の活動風景]

 中高生ラクロスの拡大
1996年に発足したTeen'sLacrosseCommunityは、2年目にして登録選手が800名を越え、関西地区での活動も開始した。

主催するTeen'sCupの参加チームも着々と増え、関西地区でのTeen'sCupも開始したが、選手たちが勝ち負けだけに執着しないよう、「ラクロスをやりたいと思ったらすぐに仲間になれる道づくり」「ラクロスを楽しいと感じる場所作り」というTeen'sLacrosseCommunityの原点に沿って、多くのビギナーズスクールやサーキットゲームも開催した。
Teen'sCup1Teen'sCup2
[左:Teen'sCup '97秋 決勝戦 / 右:Teen'sCup '97秋 閉会式]

Teen's関西Teen's関西
[左:Teen'sCup関西 大会パンフレット / 右:関西Teen's活動]

Teen'sCup3Teen'sCup4
[左:ビギナーズスクールの参加選手たち / 右:Teen'sCup'97春ではエキシビションで男子高校戦も実施]

SummerCampDayCamp
[左:Teen'sSummerCamp / 右:Teen'sDayCamp]

 国内各地区の強化、そしてアジアへの普及
前年に、全国各地でラクロスリーグ戦が男女とも実現し、日本ラクロスは次の目標に向かって取り組むこととなった。

全国各地区でリーグ戦が開催されるようになったが、地区ごとの環境の違いやレベルの違いはまだ存在していた。ジャパンカップの開催と、各地区での予選大会の実施は、各地区のチームが刺激と成長への意欲を持つきっかけとなった。
九州ラクロス新聞には、鳥栖カップの開催にあたり、以下の通り書かれている。
「九州地区は距離的な問題もあるが、関東・関西に比べ、チーム、審判の数、技術レベル、運営能力等はまだ不十分だと思う。その改善のために、自分たちの先輩方が築いてきたものを背負って、我々は鳥栖CUPに今年参加するわけである」
鳥栖カップ13鳥栖カップ2
[左:鳥栖カップの特集が掲載された九州ラクロス新聞 / 右:男子決勝戦]

アジア地域のラクロス普及によるラクロスアジア大会の開催に向け、普及支援活動に取り組むこととした。
その第一歩として、アジア諸国に強い伝播力を持つ中国、そして隣国である韓国への普及支援活動を開始した。
中国普及支援活動中国普及支援活動
[左右:中国・北京体育大学で行ったラクロス案内]

協会機関誌『RELAX2』は、それまでの機関紙と異なり、「スポーツ熱」の高まりを促すような内容で構成された。
また、国内のインターネット規模は、利用者数がやっと500万人を越え、企業の約半数はまだ電子メールを活用していないという状況であったが、世界大会開催を踏まえ、2月から協会公式ホームページの試験運用を開始した。
そして、10月に『JAPAN LACROSSE NETWORK』としてリニューアルすると、1994年『.Relax』へのリニューアル、そして2010年の『男子世界大会特設サイト』を経て、協会公式ホームページ『.Relax』は現在に至っている。
協会機関誌

 大会結果
世界大会 優勝 日本代表の成績
第5回IFWLA女子世界大会 USA 総合7位
国際試合 来日チーム(男子) 来日チーム(女子)
第9回ラクロス国際親善試合
(スコットランド・日本交流試合)
Scotland FETTES COLLEGE
全国大会 優勝(男子) 優勝(女子)
第8回ラクロス全日本選手権大会 早稲田大学 WISTERIA
地区大会 優勝(男子) 優勝(女子)
第3回北海道ラクロスリーグ戦 北海学園大学 北海学園大学
第4回東北ラクロスリーグ戦 東北大学 東北学院大学
第10回関東学生ラクロスリーグ戦 早稲田大学 東京女子体育大学
第6回東海学生ラクロスリーグ戦 名古屋大学 金城学院大学
第8回関西学生ラクロスリーグ戦 関西学院大学 関西学院大学
第5回中四国ラクロスリーグ戦 島根大学 岡山大学
第6回九州ラクロスリーグ戦 博多ラクロスクラブ F.EMPRESS
第7回クラブチーム東日本リーグ戦 東京ラクロスクラブ MISTRAL
第4回クラブチーム西日本リーグ戦 ナニワラクロスクラブ 神戸ラクロスクラブ
中高生大会 優勝(女子)
第2回Teen'sCup春   サンフラワーズ(神奈川県立外語短期大学付属高等学校)
第2回Teen'sCup秋   ブレイブユース(東京成徳大学高等学校
第1回Teen'sCup関西   RED PANTHERS(箕面自由学園高等学校)


■ 『第14回 特集・開拓者たちからのメッセージ(1)』 へ続く

『Japan Lacrosse History ~日本ラクロスの四半世紀~』 記事一覧に戻る





2012全国大会